あまりにきれいに咲き続けているので、皆さんにもご紹介。
デンドロジュウムによせて
いつも春のこの季節になると咲いてくれる白い小さな蘭の花・・・・・。毎年厳しい冬を越し、新たに枝を伸ばし、よい香りを風にのせて運んでくれる。僕にとって忘れられない思い出のある花だ。
結婚前、僕はあるレストランでアルバイトをしていた。そこにとても上品な女性の方が入って来られた。音楽がお好きだというそのご夫人と気が合い、僕は自分のパリ留学の話や音楽について多くを語ったと思う。その出会いから当時小学生だった姉妹を教える事になったのだ。芦屋の奥池の自宅までピアノを教えに行っていた。その後、結婚してシャローム音楽教室を主宰するようになってからは、出張レッスンをしなくなりご無沙汰していたのだが、ある時シャロームの教室で初めてのホームコンサートを開くことになった。そのコンサートに高木さんご夫妻が来てくださり、きれいな鉢に入った可憐な蘭の花、「デンドロジュウム」をプレゼントにいただいた。もう20年ほど前になるが、その花は株分けしていろんな方に差し上げたりしながら大切に育てていた。しかしその時、高木さん(奥様)はガンの病に侵されていて、手術のため片方の目が見えなくなっておられた。脳腫瘍だったと聞いた。にもかかわらず明るくとても優しい人だった。その後も連絡をとったりしていたが、いつごろからか連絡不能になっていた。それから年月が流れ、ある日、智ちゃんとお茶を飲みに出かけた。僕は新しい場所に行くのが好きなので、できたばかりの芦屋にある喫茶店に入った。注文をとりにきたウェイトレスが「先生!!」といって驚いている。誰だろう?なかなか思い出せない。「先生、高木です。」と言う。「ああ!・・・」思い出した。そのきれいな女の子は、昔ピアノを教えていた高木さんの長女で、明子ちゃんだった。本当に久しぶりだった。もう大学生になり、少しの間ここでアルバイトをしているとのことだった。「お母さんも元気にしている?」と聞くと、急に目をうるませて「ガンで亡くなりました。」と。きっと再発されたのだろう。僕たちは言葉もでなかった。でも、こんなに偶然に彼女に再会でき、お母さんのことも聞けたのは、きっと天のはからいだと思った。
今年も白い花は咲いた。その花を見るたびに思い出す。優しい微笑の高木さんのことを・・・・・。僕は、花を通して不思議な縁を感じる。いつまでも僕たちの心に生きていて、そして、いつも天国から応援してくれているようだ。
高木さん、ありがとう!!