| 信じつづけること、それが私の愛です。
林晶彦の雅歌は自由詩として書かれています。
第1テーマはヴァイオリンが奏で、続いてピアノ・ソロとヴァイオリン・ソロのカデンツァ。
ふたたび静かな間奏部となり、風のようなセクションがそれに続きます。そして最後は非常に静かで安らかな音楽となります。
雅歌をモチーフに書かれたこの音楽を作曲家・林晶彦と共演し、私はその音楽的な言語力に圧倒されました。(東洋と西洋が微妙に融和し、さらにイスラエル的な香りが付加された独特の世界でした。)表現がきわだって純粋です。偽りのない気持ちや誠実さと同時に、もっと友愛に満ちた環境・よりよい世界を求めてやまぬ心の、渇望の痛みも感じ取れます。
こうした感性こそ、私たちの魂や心を満たしてくれる純粋な愛の素地となるものです。私たちの
心にある全き愛と、私たちを取り巻く環境とは、おそろしく離反しています。この世には美と善が満ちているというのに、様々な邪悪な力のほうが優位を占めている現実は、受け入れがたいものです。そうした現実の中で、この理想主義的な音楽を聞くと、「なんと素晴らしいのだろう、そんな素晴らしい世界を望むことができようか?」という疑念が沸き起こります。鮮烈なこの感覚こそこの美しい作品の第一の特徴であり、私たちを楽天主義的な心境へと向かわせてくれるのです。
メナヘム・ブラアー(元イスラエルフィルハーモニーオーケストラコンサートマスター) |