銀河のきらめきが、ピアノの音になる。
唐木るみ、結城比呂の朗読と響き合うきらめくような即興演奏。
1999年、西東京市で開催されたコンサートのライヴ版
ピアノの第一音が水滴のように落ちた。 小さく静かな音だが、それは大きく強く私の心を打った。 その瞬間、
私は気づいたのだった。 その音は、今ここにある、どこかにもあるたくさんの命が奏でるたった一つの音だ、
と。 林さんの指から生まれでた命の音は、聴くものの心をうがち、コンサート会場にしみわたり、そこから宇
宙へと流れ出ていった。 「月のめぐり星のみち」を通って永遠となるために。
アポリネールらの詩人や画家へのオマージュ。 それは林さんの人柄の謙虚さの現われだと思う。 そして二人
のすばらしい朗読。 金子みすずの甘く香しい優しさ、宮沢賢治の命への愛の烈しさ、この対称をなすことばに
美しく共振するピアノ曲は、それぞれの意味をゆうわさせ、文字やことばをより生き生きとしたものによみがえ
らせている。 賢治の言葉「求道すでに道である」のように、平和を真摯に求める林さんはすでに、平和の体言
者といえる、その音楽と活動によって。 ステージには平和を祈念する切実な思いと同時に、安らぎがみなぎっ
ていた。 だから彼の音楽に私たちは皆とても満ち足りた幸せな気分になれ、この思いを多くへ分けてあげたい
と願うのだ。 そしてこのCDを聴いているうちに誰もが、いつのまにか、そんな幸せと愛情を抱いている自分に
気づくでしょう。
エッセイスト:鶴田 静
|